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糖尿病で増える癌リスクと生活習慣の改善

アジア臨床腫瘍学会で取り上げられているのは癌ですが、
昨今、糖尿病で癌のリスクが高まるとの指摘もされ始めています。

そこで、この2大成人病からどのように身を守るのかを
一般人の立場から考えてみる必要もあるでしょう。

まず、知っておきたのが糖尿病と癌との密接な関係です。

日本糖尿病学会と日本癌学会の合同委員会の発表によると、
糖尿病患者が癌になるリスクは、そうでない人の1.2倍になるそうです。

特に高いのが肝臓がんの1.8倍、すい臓がんの1.97倍です。

すい臓がんは昔から糖尿病との関連が指摘されてきました。
糖代謝異常に深く関わりのあるインスリンが、
すい臓から分泌されているからです。

インスリンの仕事はブドウ糖を体の各細胞に運ぶこと。
その働きが弱まったり分泌が減ったりすると、
すい臓はもっとインスリンを出そうとして過剰に働きます。

その結果すい臓は疲弊して糖代謝がうまく行われなくなる、
これが糖尿病です。負担を強いられ過ぎたすい臓は癌化する恐れがあります。

あるいは逆に、すい臓がんが潜んでいたことが原因で糖尿病を発症することもあります。

一方、肝臓がんは糖尿病患者が陥りやすい脂肪肝と関係があります。

食事による糖分摂取量が多いと、インスリンの働きで余分なブドウ糖は
肝臓にストックされます。それでもまだ多いと、インスリンは肝臓の細胞を脂肪に変えて、
空いたスペースに糖を詰め込んでいこうとします。

血糖値が高い状態が続けばこれを繰り返すことになるので肝臓は脂肪でいっぱいに。
これが脂肪肝です。脂肪肝は肝炎や肝硬変につながり、悪化すると肝臓がんに進行するのです。

では、なぜ糖尿病患者はそうでない人に比べ、癌になるリスクが増すのでしょうか。

糖尿病発症の要因は、加齢や体質、遺伝に加え、喫煙や過剰飲酒、
偏った食事、運動不足など、不規則な生活習慣の積み重ねです。

癌もまた同じような要因の積み重ねが発症につながっています。
つまり、両者共通の地盤を抱えているために併発するのです。

現在、癌は2人のうち1人がかかるといわれています。
糖尿病もまた、60歳以上では3人に1人が(予備軍も含めて)かかるといわれます。
高齢者であれば、6人に1人は併発しているかもしれません。

併発している場合、はじめはほとんど自覚症状がありません。
癌で手術が必要となった患者さんを検査したら糖尿病が見つかった、
あるいは長く糖尿病を患っている人が受けた健康診断で癌が見つかった、
というように検査で見つかることが多いです。

癌の切除手術の前に糖尿病が見つかったなら、
インスリンを投与して、すでにインスリン治療をしている患者さんならもっと多く投与して、
いったん血糖を改善してから手術します。
そうでないと術中や術後の回復に影響するからです。

このように併発の場合は糖尿病専門医と癌専門医の連携が不可欠です。

大学病院などではこうした事態を前提に内科の横断的なチームが存在している
ところがありますが、地域のクリニックではそこまで望めません。

患者が自発的に健診を受けるなどして、早期に芽を摘むよう心がけましょう。

が、いちばん心がけなくてはいけないのが、なによりも発症させないこと。
糖尿病と癌の共通基盤である生活習慣の乱れを徹底して改善することです。

喫煙・飲酒を慎み、バランスのとれた食事と適度な運動習慣をつけることで、
糖尿病も癌も寄せつけいない体つくりを目指しましょう。