学術集会での講演内容

第9回アジア臨床腫瘍学会 学術集会はアジア各国のみならず世界の21カ国から約1500人が集まり、講演数も704にのぼりました。その内容は多岐にわたるもので、最新技術である腹腔鏡手術・ロボット支援手術などをはじめとする外科治療や化学療法、そして放射線療法と様々でした。

ただ、がん関連の講演の数を臓器別に見ると上位5つが、胃がん93、大腸がん65、乳がん48、肺がん32、肝胆道がん29となっており、世界の胃がん患者の約8割がいるとされるアジアの学会ゆえか、胃がんについての講演の多さが目立ちました。

メインテーマを「Talk to the world wide from Asia」とし、アジアから世界への情報発信を謳ったこの学術集会にふさわしいシンポジウムの一つは、がん治療におけるアジアの伝統的な医学や医薬の戦略や問題点をテーマとしたもので、日本で行われてきた漢方療法と中国のものとの相違、また臨床試験が進みつつある現在の状況、また基礎研究についても報告がありました。

さらに「アジア発信」の大きなテーマともいえる、日本開発の胃がん化学療法を内容とするシンポジウムがありました。日本では切除不能進行・再発胃癌の標準医療の一時療法としてTS-1+CDDP療法が推奨されている一方で、欧米では異なる療法が推奨されています。

胃がん患者の多くが存在するアジアで、欧米に比べ遥かに多く診療と手術を行っているのが日本でありながら、世界への情報発信で欧米がリードしている現状に異論が提示されました。

内科的観点からの報告として日本でTS-1+CDDP療法が推奨された所以が臨床試験のレビューで示され、今後期待されるレジメンやそれについての臨床試験の進行状況が示されました。外科的観点からも、臨床試験結果がレビューされTS-1の安全性と、TS-1中心のレジメンのメリットが示されました。

韓国や台湾からもTS-1使用を受け入れる方向性が示され、さらに日韓共同でTS-1使用の療法の第Ⅲ相試験に入っていることも報告される一方で、欧米発信の療法にコンセンサスを認めている国もあることが報告されました。

アジア各国の臨床試験の報告がなされ、またがん治療の現状および展望に触れる講演とディスカッションが行われ、アジアから世界へエビデンスを発信するための前提としてアジアの現状を共有する一助となったと考えられます。