学術集会から見る癌と化学療法

抗がん剤治療は、この5年ほどで著しい進歩を遂げています。

30年ほど前は転移があるなどの理由で手術が不可能な場合の生存期間は約3か月程度でした。それが現在は平均すると約1年半ほどに延び、2年以上のケースも少なくありません。
また化学療法によって、転移した癌が縮小してなくなったり、手術が可能になったケースもあります。

胃癌での化学療法の1次治療の前には、まずはHER2検査を行います。
HER2は癌の増殖を刺激する物質で、胃がんの組織検査を行えばその有無が判ります。
陰性の人が8割、陽性の人が2割です。

このHER2の結果で1次治療で使う薬の種類が異なってきます。HER2が陰性の場合は、一時治療の第一選択薬はS-1とシスプラチンの併用です。陽性の場合の第一選択薬はカペシタビンとシスプラチンとトラスツズマブ3剤併用です。

一時治療を受けて癌への効果が落ちてきた場合は、別の抗がん剤を使う二次治療が行われます。二次治療の第一選択薬は、これまではパクリタキセル、イリノテカン、ドセタキセルの単独投与でした。

しかし、2015年11月にパクリタキセルと新薬のラムシルマブの併用に変更となっています。ラムシルマブは癌細胞だけを狙い撃ちできる分子標的薬です。

また、がん細胞が増殖に伴い栄養を得るために新たな血管を作りますが、その新生血管の増殖を阻止する働きがあり、血管新生阻害剤とも呼ばれます。このパクリタキセルとラムシルマブの併用治療が延命効果があることも実証されました。

第9回アジア臨床腫瘍学会 学術集会でも、多くの医療技術の進歩が示されましたが、それ以降も次々と画期的な医療技術の進歩があり、胃癌治療も著しい進歩を遂げています。化学療法は効果と副作用を天秤にかけて、効果が期待できて副作用の少ないギリギリの量を見定めます。

患者さんは副作用を我慢してしまいがちですが、医師に正確な情報を提供することがより良い治療に繋がります。医師と患者がお互いに良い関係を緊密に保ち、二人三脚で治療していくことが大切です。