TS-1を中心とした胃癌化学療法について

アジア各国で2年に1度開催されている国際学会にアジア臨床腫瘍学会 学術集会があります。2010年においては、第9回アジア臨床腫瘍学会 学術集会として岐阜市を会場として開催されており、日本においては2度目の大会となっています。

第9回アジア臨床腫瘍学会 学術集会の発表演題数は704にのぼり、その中の1つに胃癌化学療法に関しての内容があります。ここでは日本で開発されたTS-1に関して行われており、日本のみならず、韓国、中国、台湾、シンガポールからも発表が行われています。

現在、日本においては、胃癌の切除不能進行・再発胃癌に対する標準治療として、TS-1+シスプラチン療法が一次治療として推奨されています。しかし、現在、世界的に用いられているのは欧米のグループによるものであり、シンポジウムでは、世界の胃癌患者の約8割がアジアにいることから、年間、数名の胃癌患者しか診療しない欧米グループの標準治療に対して問題提起を行っています。

発表内容においては、TS-1に対しての状況に関しても行われており、日本からは北里大学の小泉和三郎氏が内科的観点から、標準治療としてのTS-1+シスプラチン療法が一次治療に推奨されるに至った経緯や、今後における期待、第Ⅱ相試験や第Ⅲ相試験が進められていることが報告されています。

また、岐阜大学の吉田和弘氏は外科的観点から臨床試験の結果をレビューしており、胃癌化学療法として、TS-1の投与が安全で有効な治療法であり、ステージⅡやⅢの胃癌手術後の標準的治療になり得るとの報告を行っています。韓国からは、日本とほぼ同様な胃癌化学療法が実施されていることが紹介されており、台湾においても、TS-1の使用が認可されたことや、日本から発信されているデータを元にして使用のあり方を模索している現状が報告されています。

シンガポールにおいては、日本における試験結果は受け入れられるものの標準治療としてのコンセンサスが得られていないことから、欧米による標準治療も実施されていりことが報告されています。